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文京区で2学期から給食費が無償に 議会が主導して実現

◆2学期から区立小・中の給食費を無償に 区長が表明

統一地方選後、初めての定例議会が始まりました。初日である6月8日の本会議の所信表明演説で、成澤廣修区長は区立小中学校の給食費無償化について「9月からの開始に向け準備を進める」と表明しました。「国において無償化に向けた検討が動き出したことを踏まえ、現下の物価高騰による子育て世帯の家計への影響を鑑み」というのが理由です。

無償化は区独自の政策です。2学期から保護者は給食費を払う必要がなくなります。年齢によって単価に多少の違いはありますが、子供1人あたり年間およそ5万円の負担軽減になり、非常にインパクトが大きい政策です。区長の方針を評価したいと思います。

先述したように給食費無償化は子育て支援策として効果が大きいものです。足元では食材費の高騰で食材の種類にも制限がかかる中、食育の観点からも区が食材を含めて責任をもって給食を供給していくことは重要です。そもそも憲法には「義務教育は、これを無償とする」と書かれています(どこまでが教育の範囲かは議論がありますが)。

私、依田は個人の選挙公約では特段無償化について触れていませんでした。ただ都民ファーストの会は「チルドレンファースト」を掲げ、出産・子育て・教育にお金がかからない社会の構築を政策の柱にしています。従って給食費無償化にはもとから賛成の立場です。

◆条例案、要望書…議会からの要請で区長が動いた

この動きには前段があることを皆さんにはよく知っておいてください。6月定例議会には、議員提案で今年10月から給食費を無償化する条例案が提出済みでした。賛同する会派は人数が多い順に日本共産党、AGORA(立憲+無所属)、維新文京、文京子育て(たかはま議員)、都ファ(依田)、根っこの会(ほかり議員)で、議員の数は16人です。区議会の過半数である17(定数は34、議長は採決に加わらない)に迫る数字となっていました。

同じ条例案は選挙前の3月の本会議では賛成が14にとどまり否決されました。ただ選挙を経て無償化賛成の議員が増えたこともあり、時期尚早として条例案に反対した自民党や公明党ら4会派も態度を変えました。4会派は5月16日に「学校給食無償化に係る緊急要望書」を区長に提出しました。

条例案と要望書で二手に分かれてしまったものの、議会ではすべての会派が無償化賛成となりました。これを受けて区長は区として早期に無償化を実施するという方針を打ち出したと考えられます。

体制整備に時間がかかることを考慮して条例案では無償化は10月からとしています。区長案では9月からです。早期開始ができるならそれに越したことはありませんので、提出済みの条例案の取り扱いについては、今後提案者一同で協議したいと思います。