カテゴリー
文京区

千川通りはどうなっていくのか

赤いところが千川通り(豊島区部分はプラタナス通り)

春日通りと白山通りの間、谷筋に沿ってのびる「千川通り」。かつては共同印刷を筆頭に印刷・製本業が盛んな地域でした。私の小学校の同級生の家も製本工場をやっていたのを思い出します。今はすっかり工場も減り、マンションが増えてきていますが、それでも古びた街並みが広がる地域もあります。

この千川通り、文京区的には地味な地域と思われているかもしれませんが、まだまだ発展の余地があります。その1つが道路計画の見直しです。

東京都は2019年11月に「東京における都市計画道路の在り方に関する基本方針」(「東京における都市計画道路の在り方に関する基本方針」の策定について | 東京都都市整備局 (tokyo.lg.jp))というものを出しました。主には無理して実現しなくていい道路計画を見直するものです。このなかに都道補助79号線(2940m)が含まれています。これが千川通りのことです。「プラタナス通り」とも呼ばれる豊島区の大塚駅までの区間も含まれます。

豊島区に入ると街路樹が変わり名前も「プラタナス通り」と呼ばれるようになります。

これによると千川通りは「現道合わせ」にするそうです。千川通りは現状では片側2車線の路側帯無しですが、実質的には1車線は全域にわたってパーキングメーター設置となっています。実質1車線です。

都市計画図をみると(ネットで誰でも見られます)両側とも今より1mずつくらい小幅に拡幅するのが本来の計画でした。ただ片側1車線しか使わない交通量の少ない道路ということもあって拡幅は不要ということになったと思われます。

現状ではまだ正式な都市計画の変更はされていません。それは計画の修正に合わせて沿道の街づくりを考え直そうという地元2区の思惑があるからです。

2020年12月の文京区議会・建設委員会では区側からこういった説明がありました(議事録より)。

「澤井都市計画課長 先ほどの御説明の中でも簡単には触れさせていただいておりますが、その後の経過ということで、本年度、計画の変更対象とされた都市計画道路、いわゆる千川通りのことでございます。
 もう沿道の建築物等について、都市計画変更に伴う影響に関する調査というものを実際に委託していまして、現在調査を行っている。それはどういう調査かといいますと、都市計画道の線が引かれていたが、これの位置が変わることによって、建物に対する法的な規制であるとか、そういったものに変化が生じるのかどうかということを、現在既存の建物について、個々にどういった変化が起こり得るのかというようなことを基礎的な調査として行っております。
 今後は、それを踏まえた上で、この道路自体は文京区から豊島区までまたがっている道路でございます。ですから、豊島区との整合性というもの、それから、そもそもこれは東京都の都市計画道路でございますので、基本的には都道をどうしていくかという東京都の方針と、関係区である文京区、豊島区の間で、今後、方向性としては道路の計画線の位置を変える、変わった場合にはどうしていくのかと、そういった議論をこれから検討していかなければいけないということは、今後考えられる方向性ということになろうかと思います。」

これだけみてもよくわかりませんが、ある程度推測はできます。道路予定地には高い建物を建てることはできません。すぐに壊せるような建物、例えば木造二階建てなどは許されています。現状で沿道のビルは拡幅をしたあとの敷地の境界に合わせて建てられていますが、拡幅計画が消えるとそのラインがずれてきます。基本的に高い建物は一歩下がって建ててくれた方が圧迫感がなくて都市景観もよくなります。そもそもビルごとに壁面の位置がデコボコになるのもよくありません。

こうしたことを防ぐために拡幅計画がなくなるのに合わせて新たな規制をかけて壁面の位置などをそろえようとしているのかもしれません。都の計画が消えても区として都市計画をつくれば規制はできますから。

ただそれをやるのであれば歩道や車道の構造も含めた見直しを是非してほしいところです。路側帯のない片側2車線で、一車線は実質的に駐車スペースというのはまったくひどい道路の使い方です。広い片側1車線と自転車レーンを車道に配置し、さらに余ったスペースを歩道拡幅に使ったらどうでしょうか。しっかりした自転車レーンが整備されれば鉄道駅へのアクセスももっとよくなります。両端の春日、大塚両駅には地下に巨大な駐輪場が整備されていますし。

歩道が0.5m広げられれば無電柱化の可能性も見えてきます。都は都心部の主要道路の無電柱化を強力に進めています。知事の肝いり案件ですので。実際、電柱は地震に弱い、景観を乱す、街路樹と干渉するなど問題点が多数あります。いまは千川通りは優先整備の対象となっていませんが、歩道を広げるのであれば対象にすることも可能と思います。無電柱化は歩道に点々と機器を置くので歩道の広さは必須なのです。

そんなわけで、都と区が内々に話し合っているのを待たずに、地域からも千川通りの今後をどうするか打ち上げていったらいいと思います。地域の希望をうまくまとめることができれば区としても動きやすくなるでしょう。私もお手伝いできたらいいなと思っています。

千川通りについて、共同印刷の敷地を使った巨大なマンション計画と、都バス路線の悲惨な現状についてはまた今度書きます。